群馬県高崎市在住「みんなのIT」管理者の加藤(@namibuta)です。
IT業界は今、「2015年問題」という難題を抱えています。
これまでにも何度か「xx年問題」が有りましたが、何が違うのでしょうか・・・。
有名な2000年問題
「2000年問題」は世の中が大騒ぎしたので覚えていらっしゃる方も多いでしょう。
それまではソフトウェアで使用するデータの日付は西暦の下2桁だけ扱うようにするのが主流でした。
その方法だと、1999年から2000年になった時、99年から00年ということになります。
こうなると前年よりも年が小さくなるという逆転現象が起こり、システムが想定外の動作をするというものでした。
なぜこの様な事象が起きたかというと・・・
コンピュータの記憶装置は当時非常に高価でした。
年を4桁で扱うとなるとそれなりにデータ量も増え、記憶装置にかかる費用も多くなるため、コストカットのために2桁にしたのです。
技術者は2000年になると問題が発生することは早くから知っていました。
でも、「2000年にはこのシステムは動いていないだろう」とか「その頃は自分はこの会社にいないから」などと言いながら、問題を先延ばししてきたのです。
その結果、あの大問題が発生しました。
年を4桁にしたり、内部的に順序が正常になるような対策をしたりと、自分達でまいた種でIT業界は活況になりました。
2007年問題っていうのもありました
2007年問題はご存じない方も多いかも知れません。
この年は団塊世代が一斉に退職を迎え、就業人口が減ると言われた年です。
システム開発は”アナログ”、職人の世界です。
日本中には団塊世代の方が構築したシステムが多数稼働しています。
その担当の人が一斉に辞めてしまって、システムのことがわかる人がいなくなる。
そういう危機感にIT業界全体が包まれました。
結局、退職後に再雇用したり、若い人に昔の技術を覚えさせるなどして、乗り切りました。
今度は2015年問題
2015年というと来年です。来年は何が起こるのでしょう。
2015年はマイナンバー制度の開始、みずほ銀行のシステム刷新などITに関する大型案件が目白押し。しかも期間が短い。
IT業界では既に人材の囲い込みが起きていて、人手不足が顕著になっています。
単金(給与)を上げても人が集まらない状態です。
2008年にリーマンショックが起きて、全業種総崩れになりました。
それまで不景気にも強かったIT業界は大打撃を受けてリストラを行ったり、見切りを付けて辞めたりと、技術者人口は激減しました。
また長年の不景気から、即戦力の技術者を積極的に採用し新人の育成を怠った結果、今の人材不足に至ります。
技術者の育成には時間がかかりますし、人口を増やすことは容易いことではありません。
このため大型案件に人材が集中し、他の案件にまで人を回すことができなくなる。
現代はITが無ければビジネスができない時代です。
ソフトウェア開発が滞り、ビジネスに影響が出る。これが2015年問題です。
人手不足が問題か?
実は人手不足だけが問題化というと、そうではありません。
この2015年の大型案件の後、目玉となるような案件がありません。
みずほ銀行のシステム刷新が終わると、一連の金融再編でのIT案件が終了。
国の大型案件もマイナンバーのみ。
つまり人手不足の後に、案件終了で人余りが発生する可能性があるのです。
IT業界はどうなる
IT業界は仕事の大変さの割に給料が低く、今や不人気産業と言われています。
大手メーカー、SIerだけがプライマリーとなり多重下請けによって中間搾取しているため、実際の技術者の売上が低く抑えられていることが大きく影響しています。
また開発そのものは国内でなく中国やタイ・ベトナム・インドなど海外で行うことでコストダウンを測っています。国内の技術者は育ちにくい構造です。これはIT業界以外でも同様ですね。
この様な状態で、これからの日本のIT業界を背負って立つ人材が育つのか甚だ疑問です。
2015年問題というのは国内IT業界にとってターニングポイントになるのかも知れません。
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